ウガンダ ドンキー

地域:アフリカ中央部
生産国:ウガンダ
生産地:西部ルウェンゾリ山地国立公園の周辺(コンゴとの国境付近)
生産者:ブコンズ族等の零細生産者
収穫標高:1,200m-1,800m
品種:SL14,SL28
製法:フリーウォッシュト、アフリカンベット天日乾燥
クロップ:2020/2021

プロフィール:香りはナッツで、口に含むとチョコレートの様な甘く重厚なボディー。液体はクリアーでスムース。後味は、ケニア産コーヒーの様な赤ワインの様な余韻で終わる。

オススメ:濃厚なアフリカンコーヒーをお求めの方に

ウガンダってどんなところ

アフリカ大陸の中央部、世界第二位の大きさを誇るビクトリア湖の北側にある国です。データによると、内戦で疲弊していた経済は1987年頃から回復し、サハラ以南のアフリカ諸国の中では最も成長率の高い国だそうです。2001年にはタンザニアやケニアと共に東アフリカ共同体を設立し経済も堅調に伸ばしている国です。

ウガンダ ブゴエウォッシングステーション写真
ウガンダ ブゴエウォッシングステーション

ウガンダのコーヒー生産

ウガンダ産の多くのコーヒーはロブスター種で、アラビカ種の生産はわずかです。コーヒー生産は各個人からコーヒーチェリーを買い上げる方式をとっている様です。今回ご紹介するドンキーのコーヒー生産者は「ブコンズ族」の零細農家でコーヒーの精製(コーヒーチェリーからグリーンビーンズを作ること)はブゴエウォッシングステーションが行なっています。

コーヒーチェリーの買い上げ後の換金風景
コーヒーチェリーの買い上げ後の換金風景(だと思う)

アフリカのコーヒー栽培の歴史

現在、世界中で飲まれているアラビカコーヒーの発生した国はエチオピアです。エチオピア以外の国では交易がなかったのか、コーヒー生産は欧米が20世紀に入ってから持ち込んだ作物になります。当時、コーヒー栽培はヨーロッパ諸国の植民地拡大と呼応して広がり、当時の世界貿易の中で、農産物として常に第二位の地位を占める商品作物でした。しかし、換金作物が故に生産国では生活に必要な伝統作物の栽培を減らしてまでもコーヒー栽培を進め、農地の寡占や乱開発によっる環境破壊などさまざまな問題が発生した過去をアフリカは持っています。現在はサステナブルコーヒーなど生産・消費国双方で問題を是正していく運動や取り組みなどが行われています。

アフリカンベット 雨よけのビニール天井が見える
アフリカンベット 雨よけのビニール天井が見える

このコーヒー豆の特徴

手元のデータでは、ウガンダ産出のコーヒーはロブスター種で、世界の2%の量を産出している様で、アラビカ種はほんの僅かです。そんなウガンダを店主が選んだ理由は、使用品種と栽培標高でした。

このロットでは標高の高い農家から購入したチェリーのみを使用しています。この標高の高さがチェリーはゆっくりと成熟させ、甘さと複雑な風味を生み出します。険しい道でトラックが入れないため農家はチェリーをロバ(ドンキー)に乗せて運搬することから、麻袋にはチャーミングなロバのロゴが入っています。
オリジンカントリーズStoryより

コーヒー豆の特徴に大きな影響を与えるのは標高です。標高が高いと豆の成長スピードは落ちますが、固く締まり、寒暖差の影響で甘みが増します。ただ、標高が高ければ良いのかというと、栽培や運搬コストの増加による生産者の負荷と価格への反映があります。生産力、価格、生産の持続性が高いレベルでまとまったこのコーヒー豆のデータが最初に目に止まりました。次に目に留まったデータが品種です。SL28とSL14はケニアで実績のある品種で、非常にフルーティーな印象のコーヒー豆です。ケニアのコーヒー豆相場は上がっており、なかなか価格と味が釣り合ったものが探しにくい中、ケニアの隣国であるウガンダのこの豆に期待が持てると思ったからです。サンプルをいただいて焙煎した時の印象はクリーン&スムースでチェリー感も垣間見れるとても光った印象のコーヒーでした。

パルパー写真
パルパーの機械だと思う。手前に見えるのは収穫したチェリー。右手にパルパー。

このコーヒー豆の品質

標高の高い農家から買付けたチェリーをブゴエWSに持ち込みます。 フローティングタンクでフローターを取り除き、比重の重いチェ リーのみを選別します。その後、エコパルパー(水の使用量の少な い環境に優しいパルパー)で果肉除去し、12時間ドライファーメン テーションを行います。そして、カナルでの水洗、10時間のソーキ ングを行い、グリーンハウス内のアフリカンベッド上で15~20日乾 燥させます。ドライパーチメントを2ヶ月間保管し、首都のカンパラ近郊のドライミルで脱穀、比重選別、スクリーン選別、色彩選別 を経て出荷します。
オリジンカントリーズStoryより

水洗式のオーソドックスな工程です。豆の欠点はやや多めで虫食いなどのダメージが見られますが、ハンドピックでカバーできる範囲です。発酵豆(サワービーン)やブラックなどウォッシングステーションでの問題はほぼ見られません。とても丁寧な処理をしていて、栽培から出荷までとても真面目に丁寧に作られていると感じました。

カナル写真
真新しいカナル。奥で天日乾燥している。コーヒーロットが分かれているのがわかる。

このコーヒー豆の焙煎

カッピングした時の印象にフレッシュなハーブ感がありました。この点をポジティブに取るかどうかで悩みました。お客様の傾向としてしっかり感のあるコーヒーを好まれる点を考慮してフルシティーからフレンチの焙煎度合いにしました。厚みのあるアフリカの豆はこのぐらいの焙煎でもしっかりとしており、SL14、28が持つチェリー感もありスムースな口当たりの印象とも相まってとても上質に仕上がったと思っています。

艶やかでふくよかな豆。アフリカらしいジューシーさも感じられる。

新しいコーヒー生産国を体験してみたい深煎り好きな方は是非お試しください。

千一珈琲の店主