ダテーラ

プロファイル

原産国:ブラジル
産地:ミナスジェライス州 パトロシーニョ
農園:ダテーラ農園
品種:ムンドノーボ、ブルボン、他
収穫:21/22クロップ
プロファイル:
淹れた最初の印象はブラジルらしいナッツ感と干草の様なフレッシュさを感じる。液体が冷めてくるとミルクチョコレートの様な甘さとフレーバー、バターの様な濃厚な口当たりが増してくる。どなたにもおすすめ。

オススメ:
非常に落ち着いた品質重視のコーヒー。是非ストレートで。

ブラジル
世界で流通しているコーヒーの約35%を生産しているのがブラジルです。南半球の南米大陸の西側に位置しており、東側のコロンビアやペルー、ボリビアと違い標高の高い切り立った山があまりありません。全体的に丘陵が多く、開けた広大な土地が広がっています。経的にも南米の中心的な役割を担っており、首都サンパウロはとても近代的な大都市です。治安はサンパウロとパトロシーニョ近郊の情報しかありませんが、それほど最恐という感じではありません。しかし、油断すると痛い目をみるので、それなりの注意は必要です。日本食も人気で、ラーメン屋さんには行列ができます。

サントスコーヒー博物館
サントスにある昔のコーヒー取引所。現在はコーヒー博物館になっている。

ブラジルのコーヒー生産
コーヒー栽培はミナスジェライス州とサンパウロ州が現在の主な生産地です。エスピリットサント州で収穫されるコーヒーの多くはコニロンでカネフォラ種になり、主に国内消費用に回されます。ブラジルで発生する霜害はコーヒー生産に深刻な影響を及ぼすため、近年は霜の降りにくい北のバイーヤ州の方まで生産が広がっています。この霜害が2017年にエスピリットサント州のコニロンに甚大な影響を及ぼし、コーヒー豆の輸入解禁をめぐって激しい議論が巻き起こりました。
コーヒーの収穫時期は年1回6月頃から8月頃に行われます。昔はナチュラル(収穫したコーヒーチェリーをそのまま乾燥させる方法)が主体でしたが、機械化が進み、セミウォッシュ(水で比重選別をして皮剥き器で果肉を除去するやり方)を採用する農園が多くなってきました。そのために必要な水などの資源は、雨水を利用するなど、環境に配慮しています。農家には収穫機械の他にも、比重選別機や電子選別機など製品に仕上げる機械が多くあり、パーチメントの状態ではなくコーヒービーンズの状態で出荷されます。

ブラジル農園風景
手前に広がるのはコーヒーチェリーを乾燥させているところ。奥にセミウォッシュのパルパーが見える。

ブラジルコーヒーの歴史
18世紀にフランス領マルチニーク島からブラジルにコーヒーが伝わり、生産が行われる様になりました。大消費地であるアメリカの影響もあってコーヒー生産をどんどん伸ばしていきました。大量生産の背景からブラジルコーヒーの格付けとブレンドは、独特な慣習があり、クラシフィカドール(ブラジルコーヒー鑑定士)が評価した同じランクのコーヒーをブレンドしても良いとされてきました。近年はスペシャルティコーヒーの台頭で、細かく区分けされた生産エリア毎の出荷も行う様になってきました。また、生産国のイメージが強いブラジルですが、近年は消費国としても伸びており、街には大小さまざまなカフェ(エスプレッソスタンド)があります。

コーヒー伝搬の歴史
コーヒー伝搬の経路。ブラジルはフランス系統で持ち込まれた。(写真:サントスコーヒー博物館)

このコーヒー豆の特徴
ミナスジェライス州のパトロシーニョにある巨大農園で、年間生産量が7,500SAC(4,500トン)と非常に多いです。このダテーラ農園のコーヒーは数量限定のマスターピースから始まり、最高品質のリザーブ、伝統的なナチュラル製法のフルブルームなどとラインナップされています。収穫量が多い農園のメリットは、前述したブラジルコーヒーの歴史にある様に、収穫された区画のコーヒーの品質をブレンドすることによって、品質の良いバランスの取れた製品が生み出せる点にあります。農園の規模が大きければ大きいほど、この傾向は顕著になり品質は安定します。フレーバーはナッツ、ミルクチョコレート、ブラジルらしい風味は健在です。あと秀逸な点として、ブラジルのセラード地域らしい干草のような香りが淹れたての初めの方にだけ香る点です。干草のフレーバーは強すぎたり残りすぎたりするとストロー臭としてネガティブに捉えられることがありますが、最初の方だけほんのり香り、最後はミルクチョコのような甘みを伴う心地よいフレーバーで終わる点がこのコーヒーの品質の高さを物語っていると思います。

ダテーラ コレクション
巨大農園の地の利を生かした商品。他の農園ではなかなかできない。

このコーヒー豆の焙煎
生豆の規格はサントスNo2でスクリーンサイズは16で纏まっています。ピーベリーもなくフラットビーンで構成され、グリーンも標準的な色をしております。シルバースキンも標準的で良いブラジルのセミウォッシュだと思います。焙煎はセオリー通り、水抜き後一定の火力で焙煎をしていき、豆の膨らみ(パフィング)が最大になる2ハゼ前を基準にして、あとは色見本に従った色で入止めをします。フレーバーはチョコレートをイメージし、ボディー感のあるミルクチョコレートを意識するように、あまり進みすぎない事を心がけて、CityからFullcity(-)が範囲でコントロールします。店主のベストはCity+と判断しています。

焙煎したコーヒー豆サンプル
セミウォッシュで熟度が揃っている為、仕上がりの焼き色も均一になり、良好です。
千一珈琲の店主