エル・ディアマンテ

地域:中米
生産国:コスタリカ
生産地:ウェストバレー Zarcero
生産者:Danilo Salazar Arias
精製:Cafe de Altura
収穫標高:1,700m
品種:Caturra and Red Catuai
製法:Natural Anaerobic (El Diamante)
クロップ:2021

プロファイル:シナモン、アップル、Sweet、スムース、Round mouth feel、Long after taste,Vivid impression

おすすめ:直球のスペシャルティコーヒー。他とは違うコーヒーをお求めの方に

生産国について
私のコスタリカに抱く印象は、あまり大規模ではなく非常にユニークなコーヒーを生産しているイメージです。自然保護区が多く生物多様といくキーワードで真っ先に思いつく国はコスタリカです。他にも軍隊を保有していないなど意外な一面もあります。コーヒーについてですが、昔からマイクロロットやダイレクトミルといったコーヒー生産に力を入れている印象が強く、少量で特徴の濃いコーヒー豆が多いと思っています。自家焙煎店で取り扱っているところも多いのも、特徴的なコーヒーが多いからと言ったからでは無いでしょうか。

生産地のウエスタンバレーについて
コスタリカの中でもコーヒー栽培の中心地的な場所。標高2,000m級の中央山脈の斜面は、コーヒー栽培に最適な場所です。この比較的豊かな地域の農園の約75%が森林保護区となっています。収穫は11月から4月にかけて行われます。

ウェストバレーにある「Cafe de Altura」。570名の生産者が出資して運営している。

アナエロビックファーメンテーションの誕生
のちにアナエロビックと呼ばれる発酵方法は、Cafe de alturaのエステバンの好奇心から始まった。
「私は以前、上司がカップ・オブ・エクセレンスについて話しているのを耳にして、彼に『スペシャルティコーヒーとは何ですか?』と尋ねたところ『小さなバッチで精製される、風味、甘さ、酸味に特徴があるコーヒーだよ』と説明してくれました。私は『素晴らしいコーヒーは、品種やテロワールのみによって作られるのではない。人為的にも作ることもできる』という結論を持ちました。私は誰も知らない “秘密のバッチ” で研究をくりかえしました。そしてある日、上司とカッピングをする時、アナエアロビック製法のコーヒーを紛れ込ませてみたら、上司が飛び上がって驚きました。『このコーヒーはなんだ!?』と。八年前、このようにしてアナエロビックは始まりました。2014年のCOEで7位、オランダのロースターKeen Coffeeのバリスタであるロブ・カークホフが、ワールドブリューワーズカップで5位、その後SCAのフレーバーホイールに改定が加わるなど、コーヒー業界に新風を巻き起こした。(Typicaのエステバン紹介文章より引用)

彼、エステバンの好奇心からアナエロビックコーヒーという革命がはじまった。

インプレッション
2021年8月に焼き豆サンプルを初めて入手してカップした時の印象は「鮮烈」。シナモンとアップル、雑味なくクリアーなコーヒー。久しぶりに「シビれる豆」でした。9月にオファーをし2022年8月に入荷、約1年後の再会でした。シップされ購入した豆はもちろん「鮮烈な印象」で、生豆から香るシナモンは健在。生豆の状態はグリーンも濃く熟度も十分な印象。過発酵豆などは見受けられませんでした。プレット(黒豆)虫食いもないので、生産者の意図を尊重してハンドピックなしで焙煎しています。

焙煎について
プロファイルの印象を如何に強調して表現するかが課題だと思いました。豆の印象を色濃く出して感じやすくするのは比較的浅めの焙煎が良いと、店主は考えています。とはいえ、浅ければ良いのではなく、十分に風味がピークに達する所を見つけるのが重要だと思っています。また、火入れしている時間は短時間として、豆の風味を損なわない様にとも心がけています(いわゆる、高温長時間焙煎、水抜き後のデベロップタイムを長くとってあげるやり方)。仕上がりの狙う色は、シナモンの後半、ミディアムの前半としました。

鮮烈な印象を感じ易い様に、比較的浅め短時間での焙煎を心がけている。

最後に
現在、世界中のコーヒー生産者が挑んでいる「コーヒー豆の発酵」。その中でも先駆者の豆を手にする機会を得て、とても光栄に感じています。現在、市場に溢れかえっている「発酵系コーヒー」。その中でもまさに「ザ・ダイアモンド」のコーヒー豆だと思います。

千一珈琲の店主